定期検診・メンテナンス

歯医者さんでの定期検診が、将来的に残る歯の本数や全身の病気、生涯かかる医療費にも影響を与えます。ここでは、歯科医院での定期検診やメンテナンスが如何に大事かというお話をさせていただきます。

定期検査と残る歯の数

定期健診は将来的に残る歯の本数に大きく関係します。上記のグラフは定期的にクリーニングした人としない人の歯の残る数の違いを統計的にあらわした数字です（厚生労働省：歯科疾患実態調査より）。グラフから見て分かるように定期健診を受けていた方は圧倒的に現存歯数（残っている歯の本数）が高くなっています。

治療によって得られた健康なお口を良い状態で保つため、また将来、虫歯・歯周病などで歯を失うことが無いように、定期的な受診をおすすめしております。

歳を取ると歯が無くなる…と思ってるのは日本人くらい

「年をとれば歯は抜けるもの」と考えていませんか？　しかし本当は歯が抜ける理由は年齢ではなく「定期検診を受けているか、受けていないか」が大きく影響しています。

日本人が定期的に検診とクリーニングをうけている割合はわずか2％ですが、虫歯が世界一少ないといわれるスウェーデンを始め、ヨーロッパ等の先進国では検診とクリーニングを受けることはごく日常的で当たり前のことで、これらの国では80歳で平均17～20本も歯が残っています。

「歳をとれば歯はなくなるもの」ではなく、定期的に検診とメインテナンスをうけることで多くの歯を残すことができるのです。

治療の時のみ歯科医院を訪れる方は、歯を失いやすい傾向にあり、子どものころからの定期検診によって、残る歯の数（残存歯数）には大きな差が表れます。年齢を重ねてからも多くの歯を残せるよう、お口が健康なうちから歯科医院で定期検診を受けましょう。

日本人の歯にかける1年間の支出

上記のグラフは1年間の日本人が歯科治療費にかける金額と、その他の支出にかける金額を比較したデータです。フィットネスクラブで脂肪燃焼や筋肉の維持・増強、美容室は髪の毛、化粧品は美肌と、どれも自身の体の一部です。しかしながら同じ体の一部の歯にお金をかける人は少ないようです。

お口はお顔の面積の1/3をしめますので、実は健康的な歯は、第一印象にも大きく関係します。髪の毛やお肌に気を使っていたとしても健康的な歯が無ければ、その方の魅力は半減してしまうかもしれません。

また残っている歯が多い人ほど、病気になりにくい、または重症にはなりにくいと考えられています。その分全身にかかる医療費も少なくなるというデータがあります。

歯とともに失うのが「お金、時間、健康な身体、笑顔」と言われているくらい歯は大切です。歯を残すことは、お体や美容にも、お財布にも世暇にも、実はいいことがいっぱいです。

歯周病と全身の病気…その関連性

歯周病は口の中だけの病気ではなく、全身の健康にも関係しています。

歯周病が影響を及ぼすと言われている主な病気

• 糖尿病
• 動脈硬化
• 心筋梗塞
• 脳梗塞
• 早産・低体重出産

歯を失うことで…

• 入れ歯の場合、噛む力は1/5以下、効率は1/6以下に低下する
• 噛む力は弱くなり、好きなものを美味しく食べる楽しみ、満足感の低下
• 柔らかいもの中心の偏った食生活により、栄養不足になりやすい
• 噛む力が弱くなるほど身体の機能も低下しやすく、介護・寝たきりのリスクが高くなる

残っている歯が多いほど身体の健康を維持し、自立した生活をおくれる可能性が高くなります。「歯の寿命」と「健康寿命」のためにも、痛みなどの自覚症状がなくても、定期的に歯科医院を受診する習慣をつけていただければと思います。

高い予防プログラムを実践している歯科医院選び

アメリカでは歯科の定期検診を受けないと民間保険の給付が受けにくい事情があり、スウェーデンでは歯科の定期検診が医療保険の中に組み込まれており、定期検診を受けざるを得ないインフラが進んでいます。

いっぽうで日本の歯科検診は本人の意志次第で特に義務付けがされていません。歯に対しても健康意識が高い人が定期検診を受ける傾向にあります。年齢を重ねても自分の歯でいつまでもよく噛んで食べたい人は、ぜひここで歯医者さんに通うクセをつけましょう。

そしてどこの歯医者さんでも良いわけではなく、エビデンス（医学的根拠）に基づいた効果の高い予防プログラムを実践し、現在の虫歯・歯周病の進行を食い止められる治療をできる歯科医院選びがポイントです。

虫歯や歯周病とは無縁の安心したお口の中の健康を維持するために、定期的な歯のメンテナンス・定期検診は大切です。